資産フライト 「増税日本」から脱出する方法

富裕層が資産を海外の銀行口座へ移動する動きが加速している。著者の取材によれば、いわゆるニューリッチ層を始めとする、一般人の中でも近年経済的に成功を収めた人たちが、香港やシンガポールなど海外のオフショアへ資産を移し始めている。今や資産を自分で防衛するためにOLや小金持ちもHSBCなどタックスヘイブンに口座を持ち外貨を運用するようになった。また東日本大震災を口実に政府は富裕層への懲罰的増税を秘かに進めており、相続税増税が決定したことなど初めて知る内容もあり非常に興味深い。ネットで調べるとシンガポールや香港は税制が簡素且つ低率に設定されており、将来の移住候補地として有望である。増税で困難を克服しようとする今の日本の絶望的な無策に愛想が尽きたなら、資産を海外へ待避させるのも一つの手段と本書は啓発する。文章は平易で読みやすい。

資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)