共喰い

川辺の町で起こる、逃げ場のない血と性の濃密な物語を描く表題作。押井守の映画にも共通する、ストーリー一辺倒ではなく背景にも語らせ、心象風景・無意識・メタファーを表現する手法はひきこもりの嗜好との親和性の強さを思わせる。母・父・少女・川・鷺・赤犬・鰻・鯔・白い娼婦・義手・紫陽花・蚯蚓・蝸牛・蜻蛉・壊れた自転車・川底の泥・船虫、最後に大雨が欲望を流し水に還る。

共喰い

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