中国人の憂鬱 怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力

92 人中、88人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 中国の学生ライフの「リアル」がよく分かる!, 2011/1/30
By 馬場伸一 (福岡県) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー) レビュー対象商品: オタ中国人の憂鬱 怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力 (単行本)
中国の若者に日本発のサブカルチャーが強烈に浸透しているのは周知の事実だが、ライトノベル涼宮ハルヒが大人気!などと聞くとさすがに少し驚いた。追いつくの、はやっ(笑)。

この本、結果的に中国の学生ライフのリアルを伝えることに成功している。小中高校と、部活なし、校内恋愛は絶対厳禁、学校では勉強ばっかり、家に帰ったら親の監視のもとで、また勉強。少なくとも大学に行くような中国人はみんなそんな環境なんだそうである。マジ可哀想。

「部活が存在しない国」である中国人には「部活の全国大会」というのがどうしてもリアルに想像できないらしい。ドラゴンボールの「天下一武道大会」みたいな「作劇上のフィクション」と思われているらしい。(誰かヤツラを甲子園に連れて行ってやれ!)

まして「生徒どうしの恋愛」など、厳禁である。「不純」「勉強の妨げ」と親と教師と社会が寄ってたかってガチガチに抑圧してくる。日本の少女マンガ作品のほとんどは、まるっきり成立不能な学校生活環境なのだ。

そんな環境で受験勉強ばっかりさせられては、子どもはたまったものではない。そこで、ネットを介して中国に到来した日本発アニメやゲームが(もちろんほとんどが違法コピーだったのだが)、索漠たる勉強漬けの毎日のかけがえのない「癒し」として彼らの心を鷲掴みにしたのだ。パソコンに向かっていれば、「親の目を盗んで」アニメなどを見ることができたのである。中国人オタクの多くは、そうやって誕生した。

「現代中国オタク事情」が分かる、貴重な本。
中国の若者のリアルな「今」を知るのに、非常に役に立ちます。
でも、日本のオタク文化に素養がある人であれば、大笑いできること請け合い。
そういうふうに読むのが、むしろ正しい読み方かもしれません。


35 人中、32人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0 オタクは世界共通?, 2011/1/29
By avalon - レビューをすべて見る
(VINEメンバー) (トップ100レビュアー) レビュー対象商品: オタ中国人の憂鬱 怒れる中国人を脱力させる日本の萌え力 (単行本)
インターネットの規制や言語の問題があって、中々実態が見えない中国の実情。
同じ漢字を使っていても日本人には敷居高いし、若者文化に関しては英語での解説
サイトも余り見当たらない。

世界で人気らしい日本のアニメやゲーム。その実情を紹介した本はいくつかあるけど、
何故か中国、韓国事情はパス。日本を評価していない人が多いのも、この2国の特徴
だったりします。

その実態が余り知られていない中国のオタク文化を紹介したのが、本書です。筆者は
中学から大学(精華大学)まで中国で学んでいたことがあるとのことで、地域的な偏り
はあるんだろうけど、中国でのオタク文化をリアルに体験しています。だから本書の
内容も非常に説得力あります。だいたいは日本とあんまり変わらんなぁ。って感じ。
オタクの聖地が秋葉原なのも日本と同じ。とは言え、そこは外国。中国ならではの
違いはあります。性的な描写が御法度だったり(というか日本が大らかなんでしょうけど。)
、クラブ活動が一般的で無かったりします。全国大会は天下一武道会みたいなファン
ジーだと思われている、とか。そんな日本での理想の学園生活を描いた「ときめき
メモリアル」は、中国の若者だったら誰でも知ってる大ヒット作品だそうな。

ちょっと感じたのは、こんなに日本のコンテンツにどっぷり使っていて、大丈夫なの
かなぁ。ってことです。中国でもその辺は危機意識を持っている様で、オリジナル
コンテンツの作成と視聴を奨励しているそうですけど、過剰規制や海賊版問題が解決
してないんで難しそうです。

面白かったんですけど、日本鬼子と小日本の中国人オタクの反応は日本人が考えた
ネタじゃないかなぁって思ってました。本当の所、どうなんでしょうね。これが
本当なら、日中の未来は明るいかも。