戦争のリアル

ミリタリーオタクである押井守だけあって兵器に対する造詣が深い。対談相手を軍事評論家の岡部いさくが務め、専ら聞き手に回って相槌を打ったりしている。戦争を語るとき、抽象的な理念から演繹する方法論と具体的な兵器から帰納する方法論があり、押井らは後者の方法で戦争における軍備や戦術・戦略を存分に語り尽くす。パンツァーファウスト3とRPG-7とではRPG-7のほうが経済的で数を揃えられる、陸自RPG-7に装備を改めるべきだといった話題、あるいはアニメーションを作る側から見た絵になる装備・兵器・格好良さ・日本人に似合うフォルム・妄想のガジェットを滔滔と立板に水の如く話す押井監督は水を得た魚のようだ。装備の妥当性は軍事オタクでない身には判然としかねるが、軍事マニアとしての該博な知識を活かしディテールに拘った押井守監督作アニメをまた見てみたい。脚本は伊藤和典で。

戦争のリアル Disputationes PAX JAPONICA

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